【説7】家賃から適正価格が判明する
マンションの利回りは4%程度なので、物件の価格と賃料を比較すればお得な物件か分かるという話。賃料は参考程度にはなるが、それ以上でもない。立地と時期で利回りは2%台から4%台まで変わる。この利回りだけでほぼ2倍の価格差が出てしまう。
そして、立地は都心ほど利回りが低くなる。これはキャピタルゲインが取れるという期待値の裏返しでもある。アベノミクス以降、マンション価格が1.8倍になる中、家賃は1.2倍に留まっているので、時期で家賃から算出する適正価格は1.5倍も違ってしまう。結局適正利回りが正確に分からなければ、家賃を調べても適正な価格など分からないのだ。
根拠のない話に惑わされると
生涯資産に数千万円の差がつくことも
いかがだろうか。不動産の専門家には、この程度の知見しか持たない人も多いのが実情だ。私は不動産の分析に関して、経験の長さ、用いている不動産ビッグデータの情報量、クライアントの数から言って圧倒的だとは思う。私はコンサル業界から不動産業界に入って来た異色の経歴だが、あまりに不動産に関する意見がまちまちなので、すべての不動産屋の意見を仮説として検証し、知見を積み重ねた。つまり、私の書くこと、話すことは自分の意見ではなく、すべて検証結果(エビデンス)に基づいている。
検証結果は再現性があるので、それをやれば多くの場合、同じことが起こる。その結果は、スタイルアクトが運営するマンション価格情報サイト「住まいサーフィン」の会員の含み益に表れている。彼らが自宅を査定した結果は、平均で3000万円の含み益(=値上がり益+住宅ローンの元本返済額=売った際に得られる現金)が出ている。相場が上がったことは事実だが、それも随時予測し、当ててきた。
読者諸氏には、検証が十分されていない根拠のない話に惑わされずに、不動産リテラシーを上げることをお勧めする。それは生涯において、数千万円の資産の差となって表れると思った方がいい。
(スタイルアクト(株)代表取締役 沖 有人)