しかし、今や長期固定金利が2%近くで、変動金利が0.3%ほどなので、95%以上の人が変動金利を借りている状況にある。借り手にとって、金利の影響はほぼないのだ。

 これに対して、短プラは優良企業の最優遇金利である。対象となる企業が、長年の内部留保の結果として資金需要がないところに金利を上げたら、断られるだけだ。長期と違って、短期は上げ幅も非常に小さい。たとえ、0.1%上がったとしても、それが35年ローンの返済総額に与えるインパクトは1.8%でしかない。アベノミクス開始以降の物件価格の値上がり幅が180%を超える中、この程度のことで価格に影響が出るとは考えにくい。

【説5】日本のGDPが伸びないのに、不動産価格が上がるのはおかしい

 1984年以降のGDPと戸建住宅価格指数を比較すると、相関係数が▲0.47と出る。これは逆相関と言ってGDPと住宅価格は連動せず、逆の動きをすることを示している。こうなるのは、バブル期の価格が高く、そこから大きく下げたことが強く影響しているとはいえ、相関しないことに変わりはない。

築年数と物件価格は
実は関係がなかった?

【説6】築15年のマンションが値下がりしにくく、お買い得

 2022年の首都圏の中古マンションの成約価格を5年おきの築年帯別に平均した価格で、「築11~15年から築16~20年の間が最も価格が下がらないのでお得だ」という人がいた。これはあまりに稚拙な話で、まず総額で比較してはいけない。

 今のように単価が高い時ときは、立地が悪くなり、面積が小さくなる。逆に16~20年前の2002~06年は単価が安いときで、立地が良く、面積は大きい。立地も面積も違うものを比較しても意味のある答えは出ない。

 そこで、面積補正のために総額を単価に変更し、首都圏では分布が変わるので都区部に変更して計算してみた。その結果は、どの築年でも同じ下落率になる。築年経過で価格が下がるというのは資産性の話であり、資産性で最も影響するのは立地である。日頃から不動産市場を分析している者にとって、物件価格に築年が関係ないのは常識の範囲だと思っている。