「ひとり終活」が必要なのは、単身者だけとは限らない

 ひとり終活が必要なのは、完全な単身者だけでしょうか?

 答えは、ノーです。

 ひとり終活の落とし穴に陥りやすいケースとしては、何と言っても「子どものいない夫婦」が挙げられます。

 夫婦で来られた依頼者と話をしていてよく出てくる発言が、「私たちは夫婦2人だけですから」というものです。パートナーがいるからということで安心しきっている方がいらっしゃいます。

 どちらかが入院するとなれば他方が対応する、介護状態となれば元気なほうが支える、もしどちらかが亡くなれば他方がすべて引き継ぐ、といった暗黙の了解がそこにはあります。確かにパートナーがいるというのは、とても心強いことです。お互いの絆は十分に尊重されるべきです。

 では、また質問です。

 夫婦であれば、同時に亡くなるでしょうか?

 ニュースで、夫婦が交通事故や災害により不幸にも亡くなってしまったと報道されることがあります。しかし、それは本当にまれなことで、通常は同時に亡くなるケースは考えにくいものです。どちらかが先に亡くなるのが宿命と言っても過言ではないでしょう。

 そうです。いつも2人で支え合ってきたとしても、子どもがいない夫婦は、どちらかがいずれ1人、つまり「おひとりさま」になるのです。いつまでも2人だと思っていると、いざという時に慌てふためくことになりかねません。

 自分が亡くなった時に、残された夫、または妻の身の上はどうするのか?

 これらは夫婦2人であったとしても、自分事として十分に検討しておかなければならない課題なのです。