相続は対策しなければ多くのトラブルを引き起こす。配偶者と死別しておひとりさまになる人も少なくない。そして、死別後の「おひとりさま期間」の平均は、男性は11年、女性は17年も続く。配偶者の死後、後悔しないためにも相続の準備を進めよう。特集『ひとり終活大全』(全24回)の#17は、おふたりさまのうちに知っておきたい相続の基本を解説する。(ダイヤモンド編集部)
1年で58万人が配偶者に先立たれている
75歳以上の女性の51%が死別を経験
おひとりさまになるきっかけの多くは、配偶者との死別だ。
厚生労働省の人口動態統計によれば、2019年に亡くなった約138万人のうち、配偶者がいたのは約58万人と約4割を占めた。つまり、毎年これだけの人数が、配偶者に先立たれておひとりさまになっているのだ。
そして平均寿命は男性よりも女性の方が長く、また夫が年上の夫婦の割合も多いことから、配偶者との死別でおひとりさまになる可能性は女性の方が圧倒的に高い。
実際、20年の国勢調査によれば、65歳以上の高齢者で配偶者と死別した女性の割合は35%で、男性は同9%だった。これが75歳以上になると比率はさらに高まり、女性の51%、男性の15%が、配偶者との死別を経験しているのだ。
こうした統計は子供との同居などを考慮していないため、“天涯孤独”なおひとりさまの実態とはずれがあるかもしれない。しかし核家族化が進み、子供が独立した状態で配偶者を亡くして独り暮らしになるおひとりさまの現状からは、それほど外れていないだろう。
それでは、配偶者と死別した後の“おひとりさま期間”はどの程度なのか。実際の相続データから探ってみよう。