「ひとり終活」の始め時はいつ?

 2013年に人気カリスマ予備校講師による「いつやるか? 今でしょ!」というフレーズが、「新語・流行語大賞年間大賞」を受賞し、脚光を浴びました。

 ひとり終活についても、ぜひ、このフレーズのように進めていきたいものです。といっても、なかなか重い腰を上げられないのも事実です。

 それもそのはず、自分が弱ったり亡くなったりしたあとのことなど、できれば考えたくないのではないでしょうか? ましてや周りから「ちゃんとしておいたほうがいいよ!」とプレッシャーをかけられればかけられるほど、やる気がなくなってしまうのが人情というものです。

 私は、なかなか手をつけられない依頼者の方から、「何歳になったら終活を始めたらいいでしょうか?」と尋ねられることが、しばしばあります。

 結論から言えば、早ければ早いほどいいと断言できます。

 これまで、終活を始めようと思った矢先に入院してしまったり、要介護状態となったり、急逝してしまったりした方々をたくさん見てきました。自分の思いを実現できないまま、人生の終盤を迎えてしまうのです。

 なかには、80代の子どもがいないご夫婦で、奥さんはしっかりと終活を進めようとしていたのに、夫のほうが突如その必要がないと判断し、手続きがストップしてしまったこともあります。夫にも手続きの内容や意義をお伝えしましたが、最後まで理解してもらうことができませんでした。

 もちろん進めるかどうかは依頼者の自由です。しかしながら、「もっと早くやっていれば……」「何かしら手を打っていれば……」と思ってしまう事案は枚挙にいとまがありません。

「平均寿命」を基準に動くのでは遅すぎる

 そもそも、終活という言葉が持つ意味は広く、決めなければならないことはたくさんあります。一朝一夕にできるものではないのです。これまでの自分の人生を見つめ直し、これからの人生設計を行うのが本来の終活です。一定の手間や時間がかかることは理解しなければなりません。

 早ければ早いほどいいと言ったのは、気力・体力があるうちでないと進められないからです。いずれにせよ、「思い立ったが吉日」ととらえておきましょう。