「回答」を出すためのたった1つのコツ
では、どうやって大喜利に取り組めばいいのか。
ここで、「1つの補助線」を引きたいと思います。
それが、次の図です。
「お題」
↓
「素材」:連想する素材を出す(そのまま使える「特選素材」もある)
↓
「加工」:その素材に手を加える
この「素材」と「加工」の2ステップを用いれば、誰でも手軽に大喜利に向き合うことができます。
その中身について、説明していきましょう。
〈お題〉
「電話嫌いな人にしかわからないこと」選手権
というお題を例にします。お題にそのまま答えようとすると、
「電話が鳴るだけで怖い」
というようなものしか出てこないでしょう。これだけでは、ぜんぜん面白くありません。
「当たり前すぎる」「誰でも思いつく」という回答ですよね。
なので、まずは、「お題から連想する素材」をどんどん出すことです。
ここで有効なのが、「ひとりマジカルバナナ」です。
ギリギリゆとり世代の人は知っていると思うのですが、知らない人のために説明します。「マジカルバナナ」というのは、
「バナナといったら、黄色」
「黄色といったら、レモン」
「レモンといったら、ザテレビジョン」……
というように、言葉から連想するものをつなげていくゲームです。
ここで重要なのが、「マジカルバナナは面白くなくていい」ということです。
「黄色」や「レモン」に、別に面白さはない。それが極めて大事です。
なぜなら、それが大喜利の回答の「素材」になるからです。
ただ、「ザテレビジョン」という連想には、少しひねりがあります。表紙の写真でレモンを持っているというあるあるネタが絡んでいるからです。
こういう素材は、そのまま大喜利の回答になりうる素材です。
これを「特選素材」と名付けておきましょうか。
1つだけ「ひねり」を加える
さて、先ほどのお題に戻りましょう。お題の中に、「電話」というキーワードがあります。
ここで「マジカルバナナ」の出番です。「電話」から連想するものをどんどん出しましょう。
「電話といったら、テレフォンカード」
「電話といったら、アイフォン」
「電話といったら、受話器」
というようなことを、どんどん連想します。
この段階で、
「電話といったら、ホリエモン」
と、「電話してくるやつは時間泥棒だ」と語ったホリエモンのエピソードが出てきたりすると、かなりいい収穫になります。
先ほどの「特選素材」ですね。
ただ、やはり大事なのは、いきなり「特選素材」を出すことではなく、とにかく素材の「数を出す」ということです。
そうしていくうちに、自分自身の「体験」が出てくると思います。
それも「特選素材」になります。
〈回答〉
「電話かけなきゃ」と思ってから、実際に電話をかけるまでに「心の準備をする時間」がかかってしまう
これなんかは、自分の体験という「素材」がそのまま回答になった例です。
素材がよければ、そのまま素材のままでいい。
ただ、素材を「加工」することで、さらにいい大喜利の回答にすることができます。
「1つだけひねりを加える」という方法です。
先ほど連想した「受話器」という言葉にひねりを加えた回答がこれです。
〈最優秀賞〉
もはや呪話器
漢字の「受」を「呪」に変えています。
この回答は、実際に「最優秀賞」を与えています。
そして、こういうテクニックには、いくつかパターンがあります。
「素材を出す」→「加工する」というステップを踏めば、誰でも簡単に回答が出せると思います。
「これ、面白いかな?」と1つの回答を躊躇するより、数多く考えてみて、たまにクリーンヒットが生まれるくらいで十分なのです。
どんな物事でも、たくさん考えることで、感覚がつかめてくるのが真理です。
「大喜利は才能のある人がやることだ……」
まず、その思い込みをなくしましょう。
「大喜利脳」になるためには、準備が必要です。
「紙」と「ペン」。あとは、ちょっとした考え方。
それだけです(スマホのメモでもいいですが、スマホを触ると、ついどうでもいい動画を見はじめちゃいますからね)。
どんなに会話が苦手な人でも、「しりとりしましょう」と言ったら、言葉がスルスルと出てきます。
それと同じ要領で、あなたの脳内を大喜利モードに切り替えましょう。
(本稿は、『大喜利の考え方』から一部抜粋した内容です。)
日本一の大喜利アカウント
X(旧Twitter)は、2024年1月現在で190万フォロワーを突破。元々、「2ちゃんねる」が大好きで、「匿名で面白い回答をする人がたくさんいる!」ということに衝撃を受け、Xでお題を出し続ける。これまで8年間365日、毎日欠かさず大喜利のお題を出題。累計で2万以上のお題を出し、数百万以上の回答を見てきた。昼は僧侶として働く、正真正銘の「お坊さん」でもある。また、都内に「虚無僧バー」「スジャータ」というBARを2軒経営しており、誰でも1日店長ができる店として、さまざまな有名人やインフルエンサーなどに店長を任せている。BARの名前の由来も仏教からとられている。『大喜利の考え方』(ダイヤモンド社)が初の著書。