【独自】JALがグループ会社のトップ人事に“強引介入”か、上場廃止を迫る株主提案は「天下りポスト」を失った意趣返し!?Photo:winhorse/gettyimages

持分法適用会社であるエージーピー(AGP)の非公開化を目指し、株式併合を含む株主提案を行った日本航空(JAL)が、昨年退任したJAL出身の前社長の続投や、退任後も何らかの形で処遇するようAGPに要求していたことが分かった。しかしAGPの指名報酬委員会が受け入れず、後任にプロパー社長を指名。異例の株主提案の背景には、AGPのガバナンス強化で社長人事に介入できなくなったJAL側のいら立ちが透けて見える。(ダイヤモンド編集部副編集長 重石岳史)

JAL、ANA、日本空港ビルデング
主要株主3社がAGPの株式併合へ

「エージーピー(AGP)株式の非公開化を図ることで潜在的な利益相反構造を解消し、持続可能な成長を図る」

 今年4月、持分法適用会社のAGPに行った株主提案の“表向き”の狙いを、日本航空(JAL)の幹部はこう説明する。AGPは国内主要10空港で電力を供給し、航空機の運航や空港業務に欠かせない会社だ。そのAGPの株式を併合し、主要株主であるJAL、全日本空輸(ANA)、日本空港ビルデングの3社による100%出資会社に転換するのが、株主提案の内容である。

 3社は現時点で73%のAGP株を保有し、定款変更に必要な3分の2以上の議決権を握っているため、株主提案の可決は確実視される。スタンダード市場に上場するAGPが非公開化されることにより、AGPと取引関係にある主要株主3社は少数株主との利益相反を解消できるというわけだ。

 しかし利益相反の解消が目的であれば、JALのもう一つの上場関連会社である空港施設も上場廃止にしなければ理屈が合わない。

 またJALはAGPの企業価値向上策を問題視するが、昨年まで60年余にわたってAGPの社長として経営責任を担い続けたのは、他でもないJAL自身の歴代OBたちである。

 JALの株主提案には別の思惑がある──。事情に詳しい関係者はそう明かす。それは何か。次ページで明らかにする。