ある程度理解できる、予測がつく感覚
把握可能感(Sense of Comprehensibility)とは、
「自分の身のまわりで起こる出来事は、だいたい『想定の範囲内』のことであると思える感覚、自分の置かれている状況をある程度理解できている、今後の展開をある程度予測できる、その出来事がどのようなものなのかをおおよそ説明できる感覚」
といえます。
シンプルにいえば、今自分に起こっている出来事について「だいたいわかった」と思える感覚です。「こんなものか」「想定内だな」と思える感覚だと言い換えてもいいでしょう。
例えば、何年も同じ上司の下で働いていれば、どのようなことで評価され、何で注意されるのかなどがわかってきます。このとき、「部下としてどうふるまえばいいのか、だいたいわかっている」という感覚がもてれば、把握可能感が高い状態です。
一方で、初めて体験すること(または経験回数が少ないこと)や初対面の人とのコミュニケーションなどは、何が起こるのか、どういう展開になっていくのか、予測が難しいでしょう。
例えば、異動になり初めての職場に行ったときや、初めて一人で行く海外出張などです。このような状況に対し、ワクワク感しか感じないという人は少ないと思いますが、必要以上に不安を感じてしまう人は「把握可能感」が低いといえます。
予測がつけば不安は減る
いつものルーティンの仕事と、初めて任された大きな仕事と、どちらが不安でしょうか。もちろん後者ですよね。大きな仕事を任されてワクワクしている部分もあるとは思いますが、初めての不慣れな仕事には、誰しも多かれ少なかれ不安を感じます。
人は慣れたものに安心しますが、逆に知らないことに対しては恐れを感じます。
ただ、たとえ未知なものでも、それを自分なりにまあまあ理解できたり、ざっくりと説明がつく、予測がつくと思えたりすれば把握可能感は低下せず、そこまで恐れを感じません。
例えば、海外の知らない街の道を歩くときと、日本の知らない街の道を歩くときと、どちらが安心でしょうか。どちらも知らない街ですが、日本国内でしたら、「日本ならある程度治安はいいだろう。わからなくなっても人にきけばいい」と予測がつくため、そんなに不安は感じないはずです。