――チョコザップが流行ったことで、今はジムを使う側の敷居がかなり下がったように思います。 

 これまで、多くの人が肩身の狭い思いをしてきました。たまにSNSで、「チョコザップでスマホを見ながら10分くらいバイクをこいで帰る人がいて、笑った」といった投稿があり、本気で取り組む上級者とそうではないライト層の間で議論が起きることもありました。

 上級者にマシンを独占されて、ストレスを感じているライト層もいるでしょう。ジムは場所を共有しているので、1つのマシンをずっと使用されると他の人に影響が出ます。同じ利用権を持っているので、公平な利用が求められます。当社はその問題を解決してきました。

AIによって無人で店舗が
回る仕組み作りにも挑戦

――チョコザップをさらに成長させていく上で、課題はありますか。

 高度経済成長期の日本社会は、たくさんの人がいて、その人たちが臨機応変に動く「人ありきの時代」でした。しかし、今後は少子高齢化が進み、人手不足になり、人に頼っていると社会がうまく回らなくなるでしょう。

 それを補うべく、デジタル技術が進化しています。たとえば、当社のアプリケーションを使えば、トレーナーの代わりにアドバイスを提供したり、生活記録をつけたり、食事の栄養を解析したりすることができるようになりました。

 また、チョコザップでは、1万台以上のAI(人工知能)カメラを設置して遠隔監視を行っています。不審な行動や転倒などに反応して、1日に約4000件の異常値を検知しています。このように、無人でもジムがうまく回る体制を確立しようとしていますが、汎用AIはまだ決められたルールの範囲でしか動作しません。状況に応じて判別する汎用AIが実現するのは、まだ先の話でしょう。

 我々は、社会の過渡期において試行錯誤しながら、無人でも必要な機能を確保して、快適で安全な環境を提供することに力を入れています。ただし、そこがまだ完璧ではなく、社会の変化に合わせてジムのインフラを進化させる必要があり、それが大きな課題ですね。