バブル再来!株価を動かす重大ニュース 人事、再編、物言う株主の思惑…記者が総力取材#10Photo:Bloomberg/gettyimages

アクティビスト(物言う株主)の保有が判明し、当該企業の株価が爆上がりする光景は今や珍しくない。ガバナンス改革や株主還元の改善などを厳しく企業に迫るアクティビストは、株価を大きく動かす存在だ。特集『バブル再来!株価を動かす重大ニュース 人事、再編、物言う株主の思惑…記者が総力取材』(全18回)の#10で、日本市場に本格的に上陸する「最恐投資家」の実態や、彼らの投資方針を明かす。(ダイヤモンド編集部副編集長 重石岳史)

「最恐投資家」の勝ちパターンとは?
物言う株主が日本株に照準

「財閥系企業の“本丸”をどう動かすのか見ものだ」。ある投資家がそう注目する財閥系企業とは、三井不動産である。

 2月5日、米投資ファンドのエリオット・マネジメントが三井不動産株を2%以上保有していることが判明し、上場来高値を更新。三菱地所や住友不動産など同業他社の株価も押し上げるほどの威力を発揮した。

 エリオットといえば、著名投資家のポール・シンガー氏が1977年に設立し、投資先の企業や国に訴訟も辞さない強硬姿勢で臨む“最恐”投資家として知られる。現在、650億ドル(9.7兆円)の運用資産を誇る世界最大のアクティビストファンドだ。

 グローバル市場を物色するエリオットが近年、活動を活発化させているのが日本だ。日本株に投資する専従チームを5人に増やし、今回明らかになった三井不動産以外にも、複数の大型株を保有している。

 そのエリオットが三井不動産に要求しているのが、オリエンタルランド(OLC)の株式5000億円相当の売却と、1兆円の自社株買いである。

 財閥系御三家への投資が判明したのは初であり、“保守本流”企業に対してエリオットがどう要求をのませるかが市場の関心事だ。近年、彼らが投資したソフトバンクグループ(G)や大日本印刷などの事例を見れば「勝ちパターン」が見えてくる。次ページでそれを明らかにする。