創業は明治初期、戦時中は休造したが、龍哉さんの祖父である3代目が酒造りを復活、売店を設けた。4代目の隆司さんは高い酒質を求め、自ら杜氏になって改革を行い、蔵の1階に酒造設備を集めて一直線で短い動線を考案。搾り機は冷蔵庫に収め、劣化を最小限に。少量を丁寧に醸し、清潔をキープ、クリアな酒質を実現して評価も向上した。全国新酒鑑評会では2年連続で金賞を受賞し、海外のコンクールでも優秀な賞に輝くが、出品酒も他の商品も同様に仕込んで搾るのが自慢だ。祖父と父の背中を見て育った龍哉さんは、東京農業大学醸造科学科へ進み、卒業後は酒販店などで修業しながら蔵仕事を手伝った。2年後に蔵入りし、酒造りに励み、今年で30歳。年内には自ら企画した商品を発売予定だ。赤目の地酒をさらに磨き上げる。

新日本酒紀行「瀧自慢」瀧自慢 辛口純米 滝水流(はやせ)
●瀧自慢酒造・三重県名張市赤目町柏原141●代表銘柄:瀧自慢 純米大吟醸 匠35、同 大吟醸、同 純米大吟醸、同 純米吟醸●杜氏:杉本隆司●主要な米の品種:山田錦、五百万石、神の穂、雄町、八反錦、亀の尾
新日本酒紀行「瀧自慢」杉本龍哉さん Photo by Yohko Yamamoto