家事・育児の分担に不満を抱える人は少なくない。ときに家族を崩壊させるほど切実なテーマだが、その具体的な分担方法はあまり共有されていないのは問題だ。特に女性に偏りがちな家事や育児だが、性差のない同性カップルなら公平な分担を実現できているのではないか。この疑問に答えてくれたのは、YouTubeチャンネル『ふたりぱぱ』を運営する「みっつん」さん。夫の「リカ」さんと同性婚をして、代理母出産で生まれた「息子くん」を育てている。今でこそ公平に家事・育児を分担しているみっつんさんだが、実は分担が上手くいかずに頭を抱えた経験を持つ1人だ。一体どのようにして公平な家事・育児分担を実現したのだろうか。紆余曲折を経て到達した「家族を幸せにする家事・育児分担の極意」は、所帯を持つすべての人の参考となるはずだ。(聞き手 ダイヤモンドライフ編集部/文 奥地維也)
できるほうができる時にできることをする
――みっつんさんとリカさんは、家事・育児をどう分担していますか?
料理を作るのは僕が多いですね。リカは日本食が好きだし、僕のほうが料理は得意なので。ケーキも焼きますよ。掃除や片付け、洗濯はリカが多いかな。彼は在宅勤務の日も多いので、仕事しながら洗濯機を回して、イヤホンでミーティングに参加しながら洗濯物干して、という感じ。買い物は僕のほうがよく行きます。雪国のスウェーデンに暮らしているので、雪かきはリカ。家の修繕もリカがメインだけど、1人だと大変なことも多いので僕もよく手伝いますよ。
その時々で役割が変わることもあるけど、だいたい半々で分担していると思います。彼もそう思っているといいんだけど。
――結構フレキシブルなんですか?
そうですね。「できるほうができるときにできることをする」というのが我が家のベーシックルールです。「掃除は○○、料理は□□」としっかり決めたほうが楽という方々もいると思うのですが、うちの場合は決めすぎると、「やるって言ってたのに、やってないじゃん」という気持ちが生まれちゃうんですよ。だから、あくまでもフワッとした分担だけしておいて、お互いの状況を見つつ、「あ、今は忙しそうだから俺がやっておこうかな」というふうに協力し合っています。
――「できるほうができるときにできることをする」というルールは、最初に話し合って決めたんですか?
そういうわけではなくて、一緒に暮らし始めたころから自然とこの考え方がベースにありました。ただ、特に意識的になったのは結婚後、リカの転勤でロンドンに引っ越したときです。自営業だった僕は最初のころそんなに仕事がなくて、いわゆる専業主夫になっていました。僕自身、「ただ一緒に生活させてもらってただ遊び呆けていたらイヤだ」という思いがあって、家事を多めに担当してバランスを取ろうとしたんだと思います。