空港整備・運営を
支える財源

 日本全国の国管理空港の整備や運営を行うためには、財源が必要となる。その財源となるのが、上で述べた航空機燃料税や着陸料・航行援助施設利用料である。これらを軽減することは、航空会社への支援になる一方で、空港整備・運営の原資が減少することを意味する。その減少分は、財政投融資資金を借り入れる形で運営されている。

 以前は、一般的な税金(使途がない形で国民から集められた税金:一般財源と呼ばれる)が投入されていたが、空港の整備・運営は「利用者負担を原則とする」という考えの下、現在は、航空機燃料税以外の税金は投入されていない。

 また、手荷物に危険物がないかどうかを確認する保安検査業務(※5)も、急回復する利用者に人手が追い付いていない。保安検査は、航空会社が検査会社に委託しており、(国管理空港の場合には)委託料の半分を、国が負担している。

 保安料は、3月1日から、現行1人当たり105円から、1人当たり250円に引き上げられた。国内線で2004年に、国際線で2005年に導入されて以来、初めての引き上げである。空港運営の財源が限られている中で、利用者負担を増やし、保安検査員の処遇改善による人材確保、検査体制のスマート化を通じて、保安検査の質・量の向上を図り利用者の利便性を高めるとともに空港運営を効率化する狙いがあり、今後の持続的な空港経営の意味で制度変更は評価できよう。

 このように、航空会社への支援策が縮減されたことや、その他空港運営の効率化により、24年度の財政投融資からの借入金予定額は昨年度から大幅に減少し、その結果、借入金残高は、ほぼ安定し、横ばいになっている。今後は、残高の減少が見込まれており、コロナ禍において急激に悪化した空港整備勘定の財務状況に改善の兆しが見え始めたと言えよう。

(※5)https://www.mlit.go.jp/koku/content/001597203.pdf