一方、国際線旅客数は、対コロナ前比で、移動制限のあった23年4月の50%台からは回復したものの、23年10月時点においても、70%に達したところで停滞している。この背景には、ビジネス客を中心に、コロナ前の水準に戻っていないことがある。また、燃料高および円安による運賃の高止まりにより、日本人のアウトバウンド需要が回復していないことも背景にあると思われる。
一方で、24年2月に公表されたJALの業績(23年4月1日から12月31日の連結業績)(※3)を見ると、費用を上回る売り上げを達成したことにより、売上収益、EBIT、純利益共に19年同期を上回る業績を達成した。
また、ANAの業績(23年4月1日から12月31日の連結業績)(※4)は、売上高は19年同期の額には達しなかったものの、営業利益、経常利益共に、19年同期を大幅に上回る業績を達成している。この背景には、需要が戻らない一方で、運賃単価が高価格で推移しており、収益に貢献していることがある。
24年度における
航空会社への支援策
このような状況を踏まえ、行政は、24年度にどのような支援策を行うことを予定しているのだろうか?
国土交通省航空局の24年度航空局関係予算概要によれば、すでに、23年度に決められた長期プランに基づき、引き続き、航空機燃料税の軽減措置を継続することとしている。
このプランは、「航空会社の経営基盤の強化を図りつつ、航空ネットワークの維持と航空需要の回復・拡大にむけた機材投資を促進するため」に設定されたものであり、2年ごとに、航空機燃料税の水準を、コロナ前の水準に回復させることとなっており、25年度には、航空機燃料税の水準は1万5000円に引き上げられ、27年度に、コロナ前の水準である1万8000円に戻されることとなっている(この背景については、23年2月ダイヤモンドオンライン記事『JALとANA、コロナ最悪期は脱したが「行政支援の継続」に必要なことは』を参照)。
(※3)https://press.jal.co.jp/ja/release/202402/007888.html
(※4) https://www.anahd.co.jp/group/pr/pdf/20240131-1-1.pdf
https://www.anahd.co.jp/group/pr/pdf/20200130-1-1.pdf