武田薬品の次期社長は誰?「喜べない仮説」が浮上する理由Photo:Diamond
*本記事は医薬経済ONLINEからの転載です。

 ウラジーミル・プーチン、ベンヤミン・ネタニヤフと並び社会に分断をもたらしているドナルド・トランプ米国前大統領。1年前には、本人以外は誰も信じなかった今年11月の大統領選での返り咲きの可能性が、半年前の「もしトラ(もしトランプが勝ったら)」から足元では「ほぼトラ(ほぼトランプが勝つ)」へと高まったことにより、暗澹たる思いで未来を見つめる人が指数関数的に増えている。

 77年に及ぶ人生において、本の類はほとんど読まず、気候変動リスクはウソだと断言するこの人物が、一定の支持を集める背景には、米国社会をカネと情報と人脈で牛耳るウォール街の小賢しいエスタブリッシュメントに対する中流階級以下の米国民が抱く激しい反発があるとされている。単純化して述べれば毒を以って毒を制し、あわよくば社会全体をリセットしたいという黒い願望なのだろう。

 似たような動きの萌芽は、日本社会でも確認されている。ポピュリズム政党に属する過激発言が売りの候補者が、しばし選挙を通ってしまう由々しき事象だ。「選挙は水物」とはしばしば言われることではあるが、人が人を選ぶ行為の行方を正確に予想することは、いつの世も難しい。