Eテレ人気キャラ「うーたん」の完全卒業が、親世代の心に深すぎる“ロス”を刻んだ理由NHK Eテレ『いないないばあっ!』のうーたんPR動画より

幼い子を持つ親たちにとってお馴染みのNHK Eテレのキャラクター・うーたん。『いないいないばぁっ!』からは昨年卒業していたが、今回舞台公演からも完全卒業すると発表され、お母さんお父さん界隈に動揺が広がっている。なぜ子どもよりも親世代のほうが「ロス」を感じているのか。(フリーライター 武藤弘樹)

「宇宙に行く」
それでいいのか、うーたんの完全卒業

 年度末は出会いと別れの季節。出演者の入れ替わりが主に年度ごとの節目に行われるNHK Eテレの各番組では動きがあったりなかったり、ファンは「どうなるどうなる」と、とかくざわつく季節である。

 今年は『おかあさんといっしょ』のゆういちろうおにいさん(うたのおにいさん)がいよいよ卒業かとファンは緊張したが、公式から卒業発表はなく、続投となった。

 なお、ゆういちろうおにいさんは昨年いよいよ卒業しそうな気配を醸しつつ、結局卒業しなかった(しかしノーマークで伏線のないたいそうのまことおにいさんが卒業した)ことも手伝ってか、今「ゆういちろう」で検索するとサジェストワードで「卒業しない」が上位に表示されるようになっている。

 さて、Eテレでは他に『みいつけた!』の4代目スイちゃんを務めた増田梨沙さん(10歳・ダンスも歌もうまくて筆者の超推し)の卒業も話題になったが、衝撃が走ったのは幼児向け番組『いないいないばあっ!』の操り人形キャラ・うーたんが「宇宙に行く」という理由で完全な卒業を遂げた件である。

 ファンにとって、4代目スイちゃんの卒業は年齢的にも「次なるステップへ」と受け止められやすいし、これからも彼女が活躍する姿をどこかで見られるだろうから、番組からの卒業はさみしくは感じられるが、心からの笑顔で送り出せる類のものである。

 一方、うーたんの卒業は、容易には飲み下し難い複雑さを備えていた。まず、うーたんが20年以上も出演を続けた長命の人気キャラであったこと。育児に携わる保護者たちから並々ならぬ支持を長年に渡って獲得してきたこと。そして「宇宙に行く」というふわっとした動機に、ファンとしては感情移入して応援するのが難しいこと。