親・保護者の「救い」となった
うーたんの存在感

 丸い頭の両サイド上方に丸いマラカスをつけたうーたんは、「音楽の国で生まれた妖精」という設定である。番組はかつて、女の子の「おねえさん」、着ぐるみの「ワンワン」、そして操り人形の「うーたん」という3者がメインの登場人物(キャラ)であり、うーたんはその中でも番組視聴の対象者に近い年齢(乳幼児)で、マスコット的な存在感を放ちつつも、ときにトイレ、歯磨き、お片付けなどの生活に必要な諸事を学んでいく立場にある。

 なお、うーたんの後釜には「ぽぅぽ」というキャラが入って、人気を博しているようである。

 うーたんの登場時の挨拶で思い起こされるのは、声優の間宮くるみさんが熱演する「うーたん、げんきげんき!」であり、元気で笑顔の女の子のおねえさんと(筆者が見ていた頃ははるちゃん、今はおうちゃん)、常に最高の仕事をする着ぐるみのワンワン(中の人はチョーさん)の挨拶「いつも元気なワンワンでーす」と相まって、実にポジティブオーラ全開で番組が始まったものである。

公共放送だから毒を排していく方向で番組が作られるのは理解できるが、それにしてもそのアッパーなポジティブさはなかなか得難く、それに救われてきた親・保護者は数え切れない。

 そもそも子育ては、大変な面だけ抽出して眺めれば地獄のようなものであり、それを親・保護者に乗り越えさせるのは責任感と、子と接することの喜び、その成長を見守る喜びである。ただし取り組むのはやはり大変でなので、それをサポートする存在は非常にありがたい。

 『いないいないばあっ!』は子育てをサポートする存在の筆頭である。子の関心が番組に向かい、何か反応を示す(笑う、手を叩く、歌う、踊るなど)だけでも親としては嬉しい。また、しつけの際にも、うーたんが体を張って示してくれた規範があるので、子への教育的効果ははかり知れず、親も「うーたんもがんばっていたから、やってみよう」という声かけができる。

そして、先にも述べたポジティブなアッパー加減が、親・保護者への直接的な応援歌となっているのであった。