「もしトラ」で不法移民排斥→米国景気が悪化するワケ、日本企業への影響は?ドナルド・トランプ前米大統領 Photo:Bloomberg/gettyimages

大統領選は一進一退
トランプ勝利の可能性も

 11月5日の米国の大統領選挙は、バイデン大統領とトランプ前大統領の対決になる公算が大きい。現職であるバイデン氏は当初から事実上の民主党候補者であるのに対し、トランプ氏は候補指名争いの山場となる3月5日のスーパーチューズデーを圧勝し、共和党の候補者指名をほぼ確定させた。両者ともに、何らかのトラブルで大統領選から離脱することなどがない限り、このまま大統領選挙に臨むこととなる。

 バイデン氏とトランプ氏は、それぞれ課題を抱えている。バイデン氏の最大の懸念として、高齢による健康不安が挙げられる。また、バイデン政権の政策については、物価水準がコロナ禍前を大幅に上回ることが低中所得者層の不満としてくすぶるほか、ガザ問題対応や後述する不法移民対策への反発は強い。

 一方のトランプ氏は、共和党内では幅広い支持を得ているが、依然として女性や非白人を中心とした無党派層の支持拡大に課題があるとみられる。そして、無党派層の支持獲得にとって最大の障害となる、「2021年議会襲撃事件への関与疑惑」などの刑事訴訟を乗り越える必要がある。

 こうした状況のもとで、両者の対決は大統領選直前まで一進一退の情勢が続くとみられる。筆者が3月上旬に米国出張した際に実施した、現地の有識者に対する意見聴取でも、どちらが勝利するかの予想は拮抗していた。言い換えれば、2025年以降は、第2次トランプ政権「トランプ2.0」が誕生している可能性が相当程度あり、そのリスクには十分注意すべきといえる。