周りに迷惑をかけないように、仕事はすべて自分ひとりで完結したい。そう思っている人はビジネスマンには多いはず。しかし、その思考がときに自分を苦しめる可能性があるという。※本稿は船見敏子著『仕事で悩まない人の相談力』(WAVE出版)の一部を抜粋・編集したものです。
「ひとりでなんとかしよう…」
結果的になにも手がつけられない
あなたは今、どんな悩みを抱えていますか?
仕事が思うように進まない、成長できている実感がない、認めてもらえない、やりたい仕事ができていない。その悩みはひとつではないかもしれませんね。
でも、もしかするとその悩みは、「相談」だけで解決するかもしれません。実は私も、相談できない人でした。
出版社の新入社員だったころのことです。雑誌の編集部で少しずつページを担当させてもらうようになっていたある日、取材した店の地図を作ることになりました。地図を作るのは初めてで、何をどうすればいいのかまったくわかりません。
しかし、当時の私は失敗をしては編集長に怒られる、の繰り返しで、編集部で役に立てていないと感じていたので、誰かに聞く勇気ももてませんでした。だからこそひとりでなんとかしようと思いましたが、どうしたらいいかわかりません。
私は、机の前でじっと固まったまま、動けなくなりました。
そんな私を助けてくれたのは、ある先輩でした。固まり続ける私を見るに見かねたのでしょう、「船ちゃん、何やってんの?」と声をかけてくれたのです。
地図の作り方がわからないと話したら、先輩は大笑いしながら「そんなことで悩んでたの? こうすればいいんだよ」と、やり方を教えてくれました。教わってみたら、そんなに難しいことではありませんでした。
先輩は続けて「わからないことがあったら遠慮なく聞いていいんだよ」と言ってくれました。その優しい言葉に、とても安心したことを覚えています。
大した仕事もしていない自分が、忙しい先輩の手を煩わせることなんかできない。かたくなにそう思っていた私ですが、この出来事で考え方が変わりました。
助けてくれる人はまわりにたくさんいる。
困ったときにちょっと相談することで、ものごとは動き出す。
人に話すだけで、驚くほど気持ちがラクになる。
そんなふうに思えるようになったのです。
周りに頼らない人の思い込み
優先順位はつけなくていい?
相談すれば悩みが解決すると言われても、自分の問題はそんなに単純ではない、と思ったかもしれませんね。
ではなぜ、そんなに行き詰まってしまうのでしょう?
あなたはきっと、仕事がうまく進められるよう自分なりにさまざまな工夫をしているのだと思います。会社に貢献できるように、まわりに迷惑をかけないように、と。
そうやっていつも無理をして頑張っていませんか?
もしかしたら、その頑張りがあなたをひとりにして、逆に苦しめてしまっているかもしれません。
では、人を頼らずに結果を出そうと、私たちがついつい取ってしまいがちな行動を見ていきましょう。