言葉の表面上の意味だけを受け取って作業をし、後になって「そんなこと言っていないよ」と言われ、誤解していたことに気づいた。そんな経験をした人も多いでしょう。

 ただ「はい」と返事をするだけではなく、上司の言葉を繰り返したり、「今の話は○○ということですね」と要約したりすると、相手が伝えようとしていることをしっかり理解することができます。

(4)忙しい上司や先輩の邪魔をしないようにしている。

「相談したいけど、上司や先輩がいつも忙しそうで、いつ声をかけたらいいかわからない」という人によく出会います。

 相談をすると時間を使わせてしまうから申し訳ない、迷惑をかけたくないと言うのです。そんなふうに、忙しい上司や先輩の邪魔をしないよう気を遣うことはありませんか?

 人に気を遣うのは、とても素晴らしい心がけです。でも、そのことと、わからないことがあるのに邪魔したくないからと我慢するのとは別。聞きたいことも聞けず、ひとりで頑張ろうとすると、悩みから抜け出せなくなります。

 効率も落ちて、なかなか成果を出せなくなり、最終的に周囲に迷惑をかけてしまうことになりかねません。

 仕事は、基本的にチームで行うもの。それぞれが持ち味を出しあって、総合力で目標を達成していくものです。ですから何かにつまずいたときには、ほかの人の力も借りて前に進むことが必要です。自分ひとりで判断すると、間違った方向に進んでしまうかもしれません。

(5)会社で感情は出さないようにしている。

 会社は仕事をするところ。イライラしても、悲しくなっても、感情を出してはいけない。そんなふうに、ぐっと気持ちをこらえていませんか?

 イライラを前面に出して怒る上司を見て、「みっともない。大人げない」と感じ、自分は感情的にはならないようにしようと、反面教師にした人もいるでしょう。

書影『仕事で悩まない人の相談力』(WAVE出版)『仕事で悩まない人の相談力』(WAVE出版)
船見敏子 著

 たしかに仕事の場面で、感情的になって怒鳴ったり泣きわめいたりするのは、あまりいいことではありませんね。

 でも、ときには感情を出すことも大切なのです。

 例えば失敗して激しく落ち込んでいるとき、誰かに励ましてもらえたら、立ち直ることができますよね。さらに、当人だけでなくその様子を見ていたチームのみんなは、「ここは安心できる場所だ」と確認できます。結束力が高まるのです。

 このように感情は、自分の身を守り、周囲との関係づくりに大きな役割を果たしてくれます。常にネガティブ感情を出し続けるのはよくありませんが、本当に困ったとき、不安なときなどは、気持ちを表現してもいいのです。