積立投資、毎月5万円は適正?
「今の積立投資の金額は適正でしょうか。できればもう少し増やしたいし、成長投資枠も使ったほうが良いと思っているのですが」とNISA口座での投資法について相談に来られたのは、会社員のBさん(46)。会社員の妻(44)と小学4年生の息子との3人暮らしです。
二馬力で働いており、世帯の収入は手取りで月に55万円ほどありますが、毎月ほぼ使い切ってしまう家計状況。貯金はなかなか作れておらず、お子さんが生まれる前に貯めた200万円程度のみ。ほかの金融資産は持っていません。
ここ最近、お子さんの成長を感じるにつれ、教育費や老後資金などを不安に思うようになりました。何とかしてお金を貯めたい、資産を増やしたいと考えているときに、目にしたのがNISA。長期投資でお金を増やせる、インフレ対策にもなると聞き、毎月5万円で投資を始めました。
毎月5万円を預貯金に回した場合、長男が大学に入学するまでに420万円ほどしか貯められないけれど、投資にするとシミュレーションでは80万円ほど増え、500万円ほどになりそうという結果が出ている。成長投資枠で個別株やETFなどをうまく使えば、海外旅行などのお金もできるかもしれない。そして投資を頑張れば自分たちの老後資金を作ることも可能になるだろう――そう考えているとのこと。
投資に充てる月5万円の出所は……
そうできれば良いのですが、Bさんにはある問題がありました。投資に充てる毎月5万円のお金が、家計から出せないのです。そこで「まずは、これまでの生活でできた預貯金から出していくことにした」と、当然のように話しています。
実は、こういう考え方はとても危険。Bさんだけではなく、こういうやり方で投資を始めてしまっている人が、結構いらっしゃるのです。
このままではいくら投資をしているつもりでも、長男の大学資金も、老後資金づくりも難しいでしょう。海外旅行なんてとんでもない、となってしまいます。無計画ぶりと投資への多大な期待に、投資のやり方について理解されていないなと痛感しました。
もちろん、生活防衛資金以上の預貯金があるのならば、投資資金は持っている預貯金から出すことも考えてもいいと思います。ですが、毎月のキャッシュフローから捻出できるところを投資に振っていくというのが順当なやり方。そこにすぐには使わない資金があるなら、成長投資枠を使って投資もしていく、という流れを作るのが基本です。