読み手の関心を本文に集中させる
導入部の役割

 導入部では、読み手がすでに知っていることを要約することによって、これから文書中で答えねばならない疑問を明らかにします。こうすることで、あなたは自分のエネルギーをこの疑問に答えることに集中できるのです。/導入部は常にストーリー形式を取ります。まず、読み手に親しみのある既知の状況が設定され、そこに複雑化が発生し、その結果読み手に疑問が芽生え、その疑問に対して答えを出す、というスタイルです。ストーリー形式は、読み手の知識をうまく整理してあげるのに実に便利な道具と言えます。この方法をマスターすれば、とても短い時間で、しかも大変簡潔な文書を書けるようになります。とりわけ、導入句はいくつかのパターンに分類されるということを理解すれば、その効果は絶大なものとなります。(47ページ)

 ポイントは、「読み手に親しみのある既知の状況」をどのようにストーリーにするかでしょう。ミントは「導入句はいくつかのパターンに分類される」としていますが、これは経営コンサルタント用のパターンですので、読者は自身が求められる文書の性格をよく見極めてストーリーを作ることになります。これは、実に楽しい作業になるはずです。

 読者は本書を最初から読み通すことにより鍛錬され、高度な作文の技術を習得できるようになります。最後には各章のポイントが簡潔にまとめられており、この部分をコピーして持ち歩けばメソッドを忘れないでしょう。

 本書は歯ごたえ十分で、簡単には最後まで到達できませんが、本書を制覇できれば、読者の作文技術は最高のものとなるでしょう。