中国最大の検索エンジンを提供するIT企業「百度(バイドゥ)」の広報責任者が、TikTokで自身の考える「職場ルール」について語った動画が炎上、会社をクビになる、という事件があった。本来は炎上の火消しをする立場にあるはずの広報担当者が自ら炎上というのも珍しい話だが、人々は、そして百度のCEOは、彼女の何に怒ったのか。そしてこの一件が示す、悪い意味での「百度らしさ」とは……。(フリーランスライター ふるまいよしこ)
百度の広報責任者が、TikTok動画で
職場ルールについて語って炎上
「仕事が忙しすぎてボーイフレンドから別れ話を切り出された、なんて泣きついてくるなら、秒単位であなたの辞職を認めてあげるわよ」
「私たちの間柄は雇用関係。きちんと仕事の成果さえ出してくれればいいの。家庭の事情なんて私の知ったこっちゃないわ」
……実に容赦ない物言いだった。中国の大手IT企業「百度(バイドゥ)」(以下、百度)の広報責任者、キョ静(「キョ」は「王」偏に「據」の旁)さんは、5月初めに始めたばかりの自身のTikTokアカウントで、職場ルールについて語る動画4本を公開した。
彼女の言葉は直接的だった。他にも、「私はあなたの義母ではないし、母親でもない。家庭の話をされても困る」「出張に同行したくないなら来なくてもいい。でも、昇給だの昇級だのと要求してこないで。実際に同行した職員すら昇給してないのに、それって不公平でしょ?」などという発言もあった。
画面の中のキョさんは、ショートカットにシャープなメイクで、いかにも「切れるキャリア女性」といういでたちだった。だが、その「切れる」は「凶器」になった。鋭い口調で吐いたその言葉はあっという間に批判を浴び、アカウントは大炎上した。
ただ、彼女自身も後ろめたさがないわけではなかったのかもしれない。「自分には息子が2人いるが、忙しくて息子が今何年生なのかも覚えてない」とも付け加えていた。筆者が騒ぎに気付いたころには残念ながら動画はすべて削除されており、その発言の真偽は確認できていないが、この言葉もまた見る者の神経を逆なでしたらしい。