2016年に起きた
「魏則西」事件を思い出させた

 そんな百度だから、何らかの「事故」が起きるたびに、こうしたアンチを中心に、さまざまな人たちからの激しい非難にさらされてきた。

 今回の騒ぎでも、2016年に起きた「魏則西」事件が広く取り沙汰された。西安の大学生だった魏則西さんが、がんに侵されていることを知り、治療法を求めて百度で検索。その結果として表示された病院で多額のお金を投じて未承認のがん治療を受けたが、亡くなったという事件だ。魏さんと家族が「検索結果」だと思い込んだ医療情報は、実は百度が有償で検索ランキングを操作した結果表示された「広告」だったのだ。この事件で、病院と百度はユーザーたちの激しい非難にさらされ、百度はその後検索における有償広告を中止した。

 今回の騒ぎは、そんなイメージが付きまとう百度に、広報責任者自らがさらにネガティブな評価を付けてしまったといえる。李CEOが激怒したのも当然だろう。

 皮肉なことに、CEOの逆鱗に触れてキョさんが離職した翌日、百度では「先進職員表彰式」が行われ、百度叩き上げの人事担当副総裁はそこで「25年の歴史を持つ百度に問題がないはずがない。落ち着いて理性的にそれに対処すべき」と語り、李CEOは「ここに集まったあなたたちこそが、真実の百度を代表するのだ」と激励した。

 社内はともかく、外部に対して百度はこの事件について、いまだに正式なコメントを発表していない。そんな姿もまた、外の人たちの目に映る“百度らしさ”なのである。