好調な株価は11月の米国大統領選まで…の理由

生島 選挙を控えて株価暴落でもしたら、再選の目はなくなってしまうから、何が何でも株価が落ちるような政策は避けるわけですね。

岩本 バイデン大統領の場合は2022年が中間選挙の年でした。22年のダウ平均の年間上昇率は-8%でしたが、選挙を左右するという意味で肝心要の株価は23年から大統領選のある24年秋までとなりますよね。22年はマイナスでも24年の大統領選挙までは何としても株価を引き上げたいとの思惑は働きやすいはずです。

 例えば23年年初の世界銀行の「世界経済見通し」を見ても、23年は世界経済が不況局面に追いやられる可能性があるとするなど、23年の年明けは米国経済に対しても悲観的な見方が大勢で、株価上昇の予想をされた方はほとんどいなかったように思います。

 ただ、前述の大統領選と株価のアノマリーがありますので、みなさんの総悲観をよそに、23年の株価はそれなりに上昇していくのだろうなとの予想はできたわけです。結果的に23年のダウは年間にして13.7%の上昇、史上最高値の水準で引けました。

生島 アノマリー通りだったんですね。

岩本 毎回必ずしも当てはまるとは申しませんが、2024年の大統領選挙がある11月の直前まではこの好調な株価を維持したいだろうな、という予測が成り立つわけです。前述の通り、世界の金融市場は緊密につながっています。米国株が好調であれば余裕資金も生まれさらなる投資先を求めて日本株へと流れる部分も増えます。日本株も米株に引きずられて同じような動きとなりそうです。また、これまで成長著しかった中国経済ですが、不動産市況の低迷、政府による規制強化もあり、先行きへの不安がかなりあります。そうした中で、中国人投資家を筆頭にということになりますが、今まで中国へと流れていた投資資金が米国や日本の株や不動産へという流れもあります。

生島 となると、株価上昇はマックス2024年の秋口頃まで。その後は下落、というイメージでしょうか?

岩本 1つの可能性としてそうしたこともあるかと思っています。ただ、決め打ちする必要はなく、その時が来れば速やかに撤収すればよいと考えます。