相場の転換点となる政治イベント

生島 なるほど。で、米国株を注視する際のポイントは?

岩本 相場の天井や底を当てるのは至難の業ではあるのですが、米国株の1つの特徴として大統領選挙との絡みで見られる「アノマリー」があります。アノマリーというのは経済理論などでは説明することができないけれども、経験則的に見受けられるマーケットの規則性のようなものです。

生島 理屈では説明できないけれど、どういうわけか同じような相場の動きになる、という感じでしょうか。

岩本 おっしゃる通りです。過去に同じような経緯があり、市場も似通った動きをした場合には、先行きを占うのに1つの参考となりますよね。

 ここでアメリカ大統領選挙とダウ平均の年間急騰率のグラフをご覧ください。1972年から2023年のおよそ半世紀、この間にダウは570ドルから3万7778ドルまで上昇しました。年間上昇率の平均は7.59%となります。

 そして、ご承知のように、米大統領選は4年に1回となります。そこで選挙のあった年、選挙年プラス1年、選挙年プラス2年、選挙前年の4パターンに分け、それぞれの年間平均上昇率を比べてみました。

生島 ずいぶんと差がありますね。

岩本 はい。端的に、選挙年プラス2年は上昇率が伸び悩みますが、翌年の選挙前年になると上昇率がアップするという傾向が見受けられます。ちなみに選挙年プラス2年は米国議会の中間選挙の年でもあります。

生島 たしかに中間選挙の年の株価はパッとしませんが、翌年がグンと伸びていますね。どうしてこんなことになるんでしょう?

岩本 米大統領の任期は最大で2期8年です。選挙前年に株価指数が上昇する背景としては、再選を狙う現職大統領であればなおさらでしょうが、翌年の大統領選挙に向けて景気浮揚に注力するはずで、そうした影響が株価に出ていると言えそうです。