小池知事は「泥船」自民と手を組む?
政争に巻き込まれる都民たち
散らかっている要因その2は、与野党の動きを含んだ政治的駆け引きの様相である。
まず与党である自民党が、政治とカネ問題などで不信を招いて4月の参院補選で3戦全敗したことなどが影響して、都知事選に独自候補を立てられなくなったため、小池知事を支援したい構えを見せている。「うちは手持ちじゃもうどうにもならないから、せめて外ウマに乗っかってなんとかしよう」というところで、浅ましいと言えなくもないが、政党としての生存本能に従っているだけでもあり、生存本能自体は他者が否定するものではない。
公明党は小池知事を支援する路線だが、自民との足並みも考えながらやらねばならないので、両者の動向を慎重にうかがいながらとなる。
小池知事としては、ここ最近の自民と手を組むのは泥の舟に乗るようなもので、デメリットの方が大きいかもしれないと心配である。支援を申し出てきた金持ちが、実は後ろ暗い金を集めてきた小汚い金持ちであることが世間に改めて周知されてきて、自陣に引き入れるのがためらわれるのである。
しかし自民とて必死であり、どうしても小池陣営に入りたい。小池陣営は、ポテンシャルを考えれば自民とつながっておくのも悪くないかもしれないが、この勢いと覇気の感じられない(今は)小汚いだけの金持ちをどう扱っていくか、距離をデリケートに見極めていく必要がある。
立憲民主党は単純明快である。補選で勝った勢いに乗り、蓮舫参院議院を擁立して都知事なる天下を全力で取りに行きたい。その際に「与党vs.野党」の構図を世間に印象付けられれば、「小池知事に自民党を抱かせて小池知事の票を削る」&「勝てば政治とカネ問題で弱体化している自民にさらに追撃を入れられる」という思惑があり、しかし負ければ今の野党の勢いに水を差してしまうので、この都知事選はちょっと天王山的な趣きもあるわけである。