自民党というジョーカーを小池陣営に引かせたい立憲民主党、小池さんの家になんとしてでも上がり込みたい自民党、自民党を家に入れるかどうか悩ましい小池陣営、そして黙ってその様子をいつでも発言できるように何度も唇を舐めながらジッと見つめる公明党――。これが2024都知事選を巡る主な与野党の動きである。

 それぞれの思惑や駆け引きは政治ゲームとして見応えがあって面白いが、多くの都民としては「そんなことはいいから行政をちゃんとやってくださいね」という気持ちであろうから、“有権者が安心して信頼できる政治”からはだいぶ離れたところに来てしまっているのが今回の都知事選である。

さらに都知事選をかき回す
N党とつばさの党などの動向

 N党(NHKから国民を守る党)も都知事選をだいぶかき回している。N党は当初30人を擁立する予定で候補者を募っていたが、途中方針を変えて「30人までは集めない可能性がある」とした。それでもN党公認候補予定者は15人にのぼる(5月23日時点の情報)。

 候補者を立てるには供託金に一人当たり300万円が必要となるが、N党はポスター掲示板のスペースを販売する構想を語った(「寄付で譲る」という言葉で説明された)。

 選挙にかこつけた金儲けとも指摘されており、こうした動きは選挙運動用はがきの売買や商品宣伝に選挙公報を利用するなど、昔からあった。これらを抑制するために、1950年には3万円だった供託金の額が徐々に上がってきて、現在の300万円に至るという経緯がある。だから、N党がやろうとしているポスター枠販売ビジネスが世間で問題視されるなら、その防止策の検討を期待したい。

 また、N党の立花孝志氏は立候補予定の石丸幸人氏をサポートする考えを表明している。この人はアディーレ法律事務所の創業者で、新人としての立候補になるが、安芸高田市の石丸市長と同じ「石丸」姓である。