ニュースで見聞きした国、W杯やオリンピックの出場国、ガイドブックで目にとまった国――名前だけは知っていても「どんな国なのか?」とイメージすることは意外と難しい。そういった中で「世界の国々をざっと理解できる」「聞いたことない国でもイメージできる」と支持されている本がある。『読むだけで世界地図が頭に入る本』(井田仁康・編著)だ。
本書は世界地図を約30の地域に分け、地図を眺めながら世界212の国と地域を俯瞰する。各地域の特徴や国どうしの関係をコンパクトに学べて、大人なら知っておきたい世界の重要問題をスッキリ理解することができる画期的な1冊だ。ここでは、本書から一部を抜粋して世界の国を紹介する。
ナウル共和国はどんな国?
ナウル共和国は、太平洋の南西部、わずかに赤道の南に位置する島国です。
バチカン、モナコに次ぐ世界で3番目に面積の小さい独立国で、品川区ほどの広さです。
1888年にドイツ領となり、りん鉱石(海鳥の糞が千年、万年の単位で堆積しサンゴの石灰と混じり化石化したもの)が島全体にあることが判明すると、1900年にイギリスがりん鉱石の鉱業権を得て、1906年から採掘が始まります。
りん鉱石は肥料として重用され、世界中に輸出されました。
1968年の独立後もナウルはりん鉱石の輸出で潤い、1990年代後半までは、公共料金や税金が無料で、住民の生活水準は南太平洋随一の高さを誇りました。日本との間にも国営航空会社が定期便を飛ばしていました。
しかし資源は枯渇し、りん鉱石のみを収入源としていたナウルは経済破綻を起こすと、裕福な生活になれた住民は、経済破綻で働くこともままならなくなりました。
島の8割がりん鉱石の採掘で居住・耕作が不可能となっているため、食料はほとんど輸入に頼っています。
2000年代に入ると、りん鉱石の二次採掘が始まり、りん鉱石に頼る経済状況は変わっていません。
オーストラリア、ニュージーランド及び太平洋諸国との結びつきが強く、とくにオーストラリアは、軍隊をもたないナウルの安全保障を負っています。
ナウル共和国
面積:21㎢
首都:ヤレン
人口:1万人
通貨:オーストラリア・ドル
言語:ナウル語(公用語)、英語
宗教:プロテスタント60.4%、カトリック33.9%
(注)CIAのThe World Factbook(2024年6月時点)、『2022 データブックオブ・ザ・ワールド』(二宮書店)を参照
(本稿は、『読むだけで世界地図が頭に入る本』から抜粋・編集したものです。)