ニュースで見聞きした国、オリンピックやW杯に出場した国、ガイドブックで目にとまった国――名前だけは知っていても「どんな国なのか?」とイメージすることは意外と難しい。『読むだけで世界地図が頭に入る本』(井田仁康・編著)は、世界地図を約30の地域に分け、地図を眺めながら世界212の国と地域を俯瞰する。各地域の特徴や国どうしの関係をコンパクトに学べて、大人なら知っておきたい世界の重要問題をスッキリ理解することができる画期的な1冊だ。この連載では、本書から一部を抜粋しながら、毎日1ヵ国ずつ世界の国を紹介する。
バチカン市国ってどんな国?
バチカンは、イタリアの首都ローマ市内にあるバチカンの丘の上、テベレ川の右岸にある世界最小の独立国です。国境は城壁に沿って引かれ、スイスの衛兵が警備に当たっています。
1929年、イタリア政府との間でラテラノ条約を結び独立国となりました。カトリック教会の最高位で、国の元首である教皇が暮らしています。
国家財政は、資産運用、切手・コイン、出版物、各国の教会献金などに依っています。予算の赤字は、伝道・慈善事業にあてるための教皇献金(ペテロ献金)で補塡されます。また、観光客が多数訪れるため、美術館の入場料収入も少なくありません。
1582年に、九州のキリシタン大名がローマ教皇のもとに派遣した4人の少年使節団は、実際にローマ教皇に会い、歓迎されました。
カトリック総本山のサン・ピエトロ大聖堂
世界遺産に登録されているサン・ピエトロ大聖堂は、カトリックの総本山です。324年、ローマ皇帝コンスタンティヌス帝により創建されました。
現在の大聖堂は2代目で、1506年に再建工事が始まり、ブラマンテ、ラファエロ、ミケランジェロらが加わり、1626年に完成しました。奥行き186m、円蓋の高さ132.5mで6万人を収容できます。
隣接するローマ教皇の住居バチカン宮殿の祭壇後方の壁には、ミケランジェロの「最後の審判」が描かれています。
バチカン市国
面積:0.44km2 首都:バチカン
人口:1000 通貨:ユーロ
言語:ラテン語(公用語)、フランス語(外交用語)、イタリア語(業務用語)など
宗教:カトリック
隣接:イタリア
(注)『2022 データブックオブ・ザ・ワールド』(二宮書店)、CIA The World Factbook(2022年2月時点)を参照
(本稿は、『読むだけで世界地図が頭に入る本』から抜粋・編集したものです。)