主要メーカー全てで品質・認証の不正
どうしてそんなことに?問題の背景は…
今回の発覚によって、わが国の主要自動車メーカーの全てで品質・認証の不正問題が起きたことになる。振り返れば16年、三菱自動車で燃費データの改ざんが明らかになった。続く17年、日産自動車とSUBARUで無資格検査員による完成車の検査が発覚した。さらに22年、商用車(トラック)の生産を行う日野自動車で燃費試験などの不正が表面化した。
そうして23年、ダイハツ工業の衝突試験不正、豊田自動織機でエンジン出力に関する不正も発表された。一連の認証不正、データ改ざんの実態を把握するため、国土交通省は各メーカーに調査を求めた。
これまでの発表によると、トヨタ、マツダ、ヤマハ、ホンダ、スズキの5社、38車種で認証不正があった。生産終了分を含め、不正の対象台数は500万台を超えた。トヨタでは14年から不正が発生していた。16年に問題が発覚したにもかかわらず、不正が続いたのはかなり深刻だ。
問題は、型式指定に関するものである。自動車メーカーが新車を生産する際、安全性、環境性能の基準を適合しているか、事前に国の審査を受ける。審査を通過し型式指定を得ると、メーカーの完成検査で販売できる。協定国であれば検査を簡素化できる。
日本の自動車審査方法は米国と異なる。米国では排ガスに関する事前の審査がある。審査で安全性に問題があればリコールで対応する。
一方、日本では事前に政府が基準を定める。自動車メーカーはそれぞれ基準を満たし、効率的な自動車生産のため“すり合わせ製造技術”を磨いてきた。その結果、燃費、安全、走行など性能は向上し、日本車は世界で高い評価を得た。
認証不正は、消費者が各メーカーに寄せた安心感・信頼感を棄損する懸念がある。トヨタで発覚した6件は国際基準に該当するものだった。同社によると、問題の全貌はまだ把握できていない。問題の完全な解決には、まだ時間がかかるだろう。