作家の幸田真音氏は5539万円
「サステナ」の専門性が目立つ

 JTなどの3社の社外取を兼務する作家の幸田真音氏(73)の推計報酬額は5539万円に上った。JTの社外取は今年退いたものの、在任期間は12年にわたった。兼務している三菱自動車工業の社外取は6月20日の株主総会で再任され、7年目に入っている。三菱自動車が開示したスキルマトリックスによると、幸田氏は「世界情勢や社会・経済動向等に関する識者」に分類されている。

 また、フリーアナウンサーの福島敦子氏(62)は不動産大手のヒューリックやカルビー、キユーピー、名古屋鉄道の4社の社外取を兼任し、推計報酬額は計4796万円に上っている。ヒューリックが株主総会招集通知の中で公表しているスキルマトリックスでは、福島氏の代表的なスキルとして「サステナビリティESG」を挙げている。

 福島氏のように元アナウンサーやキャスターの社外取のスキルには、サステナビリティやESGといったものが目立つ。

 元フジテレビアナウンサーで弁護士の菊間千乃氏(52)の推計報酬額は4635万円。コーセーや、繊維商社のタキヒヨー、マネーフォワードなど5社の社外取を兼務する。マネーフォワードが開示するスキルマトリックスでは、菊間氏は「法務・コンプライアンス・リスク管理」に加え、「人材開発」、そして「サステナビリティ・ESG」の専門性を持つとしている。

 SBIホールディングス(HD)とディップの社外取を兼務し、同1867万円の元TBSアナウンサーの竹内香苗氏(45)。SBIHDは竹内氏の選任理由について、「『女性の視点に立った経営戦略』が重要な当社にとって、その分野に極めて高い知見を有している」と強調。スキルマトリックスでは、竹内氏は「サステナビリティ」と「国際経験」の専門性があると記している。

 報酬額の多い10人のうち、大半を占めるのがアナウンサーやスポーツ選手の出身者である。企業経営の経験はなく、法務や会計など経営にかかわる専門性を備えているケースもまれだ。企業統治の要である社外取としての役割を果たしているのかどうかが問われている。

【報酬額リストの見方】
*「推計報酬額」は、有価証券報告書(2022年12月期~23年11月期)の役員区分ごとの報酬等の総額において、「社外取締役」として開示があれば、その金額を対象者の人数で割って算出。「社外取締役」の開示がなく、「社外役員」として開示があれば、その金額を対象者の人数で割って算出した。「推計報酬額の合計」は、兼務している企業の推計報酬額を全て合計。社外取「全10599人」人中の順位を掲載。5月16日現在の上場企業が対象。社外取の年齢は6月1日現在。社外取は22年12月期~23年11月期で、その後24年5月16日までに持ち株会社化、経営統合などで証券コードの変更があった企業は対象外。「社名」は兼務がある場合、最も「在任期間」が長い企業をピックアップし、その後ろに「など」を付けた。HDはホールディングスの略。