コメダと星乃「サンドイッチ」の決定的な違い
これはやはり「喫茶店」という機能を超えた「非合理」とも思える店舗づくりにコメダが必死になって取り組んできたということだろう。端的な例は、「コメダ部」「さんかく屋根の下」というファンコミュニティーをつくり、活発に利用者と交流しようとしていること。こうした取り組みは、すぐさま利益に直結するものではない。
そして、レシピに不要な要素でも、コメダはそのまま残している。例えば、クラブハウスサンド。コメダの「ミックストースト」は、切られたキュウリがパンからはみ出している。
一方の星乃ははみ出していない。調理の手間から考えれば、キュウリがパンから飛び出すためには、一手間多くかかっているのだ。
また、客の回転や効率を考えてのことだと思うが、星乃は電源コンセントがない。喫茶店を本来の人と話す場だと考えれば、コンセントなどを置くと、客単価が上がらない上に、客の滞在時間が長くなってしまうなど、デメリットが多い。コメダにはコンセントがある。
コメダの水には氷が入っていて、星乃は冷えてはいるが氷が入ってない。コメダは布おしぼり、星乃は使い捨ての紙おしぼりだ。
コメダの経営戦略は、経済合理性を超えているのである。星乃をディスっていると思われるかもしれないが、そうではない。星乃は淡々と当たり前のことを当たり前にやっているだけだ。コメダが異次元すぎるのである。
経済合理性を超えるということは、舵取りにあたって感覚的なものにも頼る必要があり、険しい道のりにならざるを得ない。それでもコメダ、星乃がお互いに今の戦略を続けている限り、両社の逆転は難しいのではないだろうか。