在位中に一回限りなのに
もったいなかった国賓訪問

 今回の訪英について、私は正式決定の前の4月に、「天皇、皇后両陛下が6月に英国へ、国賓訪問の実現には『不安要素』も」(https://diamond.jp/articles/-/341717)で、二つの問題を指摘した。

 一つは、日本側からは5回も訪英しているのに、英国女王は1回だけのため、今回は英国王に来てもらうべきだということだった。ほかの国王には相手に先に来させるのを原則としているのに、英国王だけ逆の一方通行になっている。チャールズ国王は10月にはオーストラリアを訪問するそうだから、訪日できないのではない。

 もう一つは、国賓訪問は同じ元首は在位中に一度が原則、つまり、両陛下にとっては一度限りのことなので、チャールズ国王などが病気のときに訪れるのがよいとは思えないということ。

 さらに、英国では総選挙が行われることになったので、首相をはじめとする政治家との交流は難しかった。実際、恒例の首相主催の歓迎行事はキャンセルされ、政治家との交流はほとんどなかった。なお、習近平主席や尹錫悦大統領は訪英時、議会で演説もしている。

 これまでの例と比較しても、昭和天皇が3泊、上皇さまが4泊に対して、今回は6泊もしながら、行事の中身は、陛下がご出席されたものを比べてみても、かなり薄かったのがわかると思う。とくに食事は、過去2回の国賓訪問では、ほとんどすべて公務だったが、今回は昼夜それぞれ6回(計12回)のうち、陛下のご出席は4回のみ。残る8回は、雅子さまと過ごされたようだ。

 国王夫妻との日程を無事こなせるように、ご体調に不安のある雅子さまに事前の3日間、寄り添われたのだろうか。

 今回の訪英は、週刊文春の記事によると、両陛下の部屋だけでも1泊330万円というが、異例の日程にするならていねいな説明がいるのではないか。

 また、カミラ王妃と同乗した馬車でのパレードの際、雅子さまはマスクをされたままだったが、沿道に集まった人たちは皇后陛下のお顔を拝見したかったわけで、残念がっていた。馬アレルギーであるならば、屋根付きの馬車にすることで、窓越しでもお顔を拝見できる。せめて、小さいマスクにできなかったのか。パレードは英国民を楽しませるためのものだ。