昭和・平成・令和の
英国国賓訪問の日程を比較

 日本の両陛下が英国を国賓訪問されたのは、(1)1971年の昭和天皇(2)1998年の上皇陛下に続いて、(3)今回が3回目だ。それぞれの日程の詳細を比較してみよう。

(1)昭和天皇訪英(1971年)は、戦争で戦った日英の和解という政治的にも重要行事だったので注目され、また、英国王室として歓迎しているということを反日気分がなお強かった英国民に対して分かりやすく示す必要があった。バッキンガム宮殿に異例の3日間も宿泊したことがその象徴だった(習近平やトランプもバッキンガム宮殿に宿泊)。

 日程の詳細は下記の通り。

10月5日
 空港でマーガレット王女出迎え→ビクトリア駅でエリザベス女王出迎え→馬車でパレード→女王非公式午餐会→無名戦死の墓ご供花→ウェストミンスター市歓迎式典(セント・ジェームズ宮殿)→女王晩餐会(バッキンガム宮殿)

10月6日
 英国駐在外交団ご引見(セント・ジェームズ宮殿)→ロンドン王立協会→英国首相午餐会(ハンプトン・コート宮殿)→キュー王立植物園→ルイス・マウントバッテン卿非公式引見→ロンドン市長晩餐会(ギルドホール)

10月7日
 リンネ協会(会長エジンバラ公)・ロンドン動物園→内輪の昼食(休養)→ロンドン自然史博物館・皇后は大英博物館→日本人商工会議所レセプション(クラリッジスホテル)→天皇答礼晩餐会(日本大使館。女王・首相など出席)

10月8日
 女王とのお別れ行事(バッキンガム宮殿)

(2)上皇陛下の国賓訪英(1998年)は、日本企業の工場進出などで経済的な絆が頂点に達していたころだが、ウェールズという政治的に重要な地方訪問も含まれたことが話題になった。宿泊はグロブナーホテル。

 日程の詳細は下記の通り。

5月26日
 ロンドン到着→馬車でパレード→無名戦死の墓供花→ウェストミンスター市歓迎式典(セント・ジェームズ宮殿)→女王晩餐会(バッキンガム宮殿)

5月27日
 ウェールズ訪問(チャールズ皇太子同行・カーディフ城で歓迎行事・午餐会)→ロンドン市長晩餐会(ギルドホール)

5月28日
 JETプログラム青年懇談→キュー・ガーデン→首相夫妻午餐会(首相官邸)→ロイヤル・ソサエティ→天皇晩餐会(ビクトリア・アンド・アルバート博物館)

5月29日
 天皇はリンネ協会・皇后は英国赤十字本社→日英関係4団体共催レセプション(グロブナー・ハウス)→動物学協会→日英音楽関係者との集い(服部邸)

5月30日
 天皇はウェールズ・ファーム、皇后はオックスフォード大学ボードリアン図書館

5月31日
 ロンドン発

(3)今上両陛下の今回の国賓訪英は、エリザベス女王の招待を引き継いだものだが、英国側では国王とキャサリン皇太子妃が闘病中の訪問だった。キャサリン妃は姿を現さなかったが、前週には国王誕生日の行事、翌々週にはウィンブルドン決勝に出席しているので出席は可能だったとみられる。

 日程の詳細は下記の通り。

6月22日
 午後に英国到着。重要な歓迎対応なし。クラリッジスホテル泊

6月23日
 陛下のみ、「ジャパン・ハウス」で在留邦人などと交流。

6月24日
 陛下のみ、テムズ川防潮施設と日英友好団体主催レセプション出席。

6月25日
 国賓訪問開始。国王夫妻と歓迎行事および馬車でパレード。皇后さまは馬アレルギーのため大型のマスク着用→バッキンガム宮殿で午餐会→陛下にガーター勲章授与→ 無名戦士の墓献花→国王晩餐会(選挙中のスナーク首相とスターマー労働党党首も列席)

6月26日
 陛下のみ、バイオメディカル研究所・王立音楽大学→陛下のみ、ロンドン市主催晩餐会

6月27日
 両陛下は国王にお別れの挨拶。子ども博物館視察と「となりのトトロ」観劇→陛下のみ、ウィンザー城でエリザベス女王夫妻の墓参→植物園

6月28日
 両陛下でオックスフォード大学訪問。皇后さまは名誉法学博士号を授与され、総長主催の午餐会・両陛下留学先のカレッジ→空軍基地から帰国