大風呂敷を広げて失敗を重ねても
「成功の数」を比べたら…

 それはさておき、稲盛氏の教えを受けた青山氏の表現であろう。

「10言って5しかできなかった人間」と「3言って3できた人間」では、「言っていること」と「やっていること」の整合性は、3の人間の方が上だ。ただ、10言って5しかできなかったとしても、結果として、3の人よりも成果を出していることも事実だ。

 大風呂敷を広げて「あれもやります、これもできます」という人は信用できないという文脈で捉えられることもあるが、たくさん動けば失敗も当然増えることぐらい、上に立つものは分かっているということだ。

 ビジネス誌の編集部に13年ほど在籍していたが、やはりなぜか失敗をとにかくしたくないという人は本当に多かった。これはもう生き方の違いとしか言いようがないのかもしれないが、一つの失敗でシュンとなってしまう。そういう人は、上の人から命じられると本当に楽だったようで、喜々として行動する。

 そういう生き方を私もやってはいたのだろうが、あまりやりすぎると、優秀な人たちは心の中では笑っているから注意した方がいい。「一度きりの人生、失敗を含めて、めちゃくちゃやってやろうよ」と伝えたい。

 また、今回は話すことばかりにフォーカスした原稿になったが、誰からも学ぶことができるということを忘れてはならないと思う。いろんな人とよく話をし、よく聞くことだ。会議に積極的に参加することは、全ての人のためになる。自分がより賢くなって帰ってくることを期待して会議に臨もう。