新型「スイフト」のHV化について
筆者が想像したこと…

 次に、エンジンに関するブースで話を聞いたが、ここでも主役は電動車だった。

 ただし、eアクスルを使用する形式ではなく、エンジンに対して駆動力を補助するマイルドハイブリッドである。

 スズキのハイブリッドといえば、エネチャージがあり、その性能を進化させてきた。

 直近では、23年に発売された新型「スイフト」で、新開発の1.2L直列3気筒でモーター機能付き発電機(ISG)を搭載するマイルドハイブリッドだ。回生ブレーキで充電した電力でモーターを動かし加速時にエンジンからの駆動力を補助する。

 これは、12Vマイルドハイブリッドだったが、今回開発したのは48Vマイルドハイブリッドとなる。

 現行の軽自動車で比較すると、12Vマイルドハイブリッドでは自然吸気エンジンの最大出力36kWでモーターは2kWと小さいのに対して、48Vになるとモーターの出力は5倍の10kWとなる。

 この48Vマイルドハイブリッドの搭載がうわさされているのが、次期スイフトスポーツだ。自動車専門誌やネット上には、現行の1.4L直列4気筒直噴ターボに、48Vマイルドハイブリッドが付加されるとの予想がある。

 今回スズキ関係者との意見交換では、次期スイフトスポーツの詳細には触れなかったものの、筆者としては、新型スイフト用の1.2L直列3気筒の48Vマイルドハイブリッド化を連想する。

 その理由は、いくつかある。

 まず、現行の1.4L直列4気筒直噴ターボでは、Euro7をクリアすることは難しいという。Euro7は、高回転域で燃料が濃い状態での条件が厳しいからだ。

 次に、新開発1.2L直列3気筒は、現在の仕様でEuro7をクリアできるという。

 その1.2Lエンジン+48Vマイルドハイブリッドの運転性能を聞いたところ、エンジンは低回転から中回転域で力強く、さらに48V対応モーターの出力も十分で、そうした動力をトランスミッション手前で切り替えるため、例えばマニュアルトランスミッション(MT)でもMTらしい走りが満喫できるという。

48Vマイルドハイブリッドユニットを搭載した1.2L直列3気筒エンジン48Vマイルドハイブリッドユニットを搭載した1.2L直列3気筒エンジン。Photo by K.M.

 さらに、確認のために、仮に1.4L直列4気筒直噴ターボに48Vマイルドハイブリッドシステムを搭載するとどうなるかと聞いたところ、ターボとモーターの役割を明確に分けるのが難しいという回答だった。

 ターボをより高回転域に対応するような設定が必要となり、そうなるとEuro7での高回転域での規制対応が難しくなってしまう。

 こうした問答をまとめると、次期スイフトスポーツは、新開発1.2L直列3気筒+48Vマイルドハイブリッドになる可能性が考えられる。

 繰り返すがあくまでも筆者の想像であり、スズキ関係者は次期スイフトスポーツに関する情報は何ら開示していない。

 いずれにしても、現行エンジンではEuro7対応が難しいスイフトスポーツは、近い将来何らかの形で電動化されることは間違いない。