米共和党全国大会でドナルド・トランプ氏とJD・バンス氏が正副大統領候補に正式に指名され、ジョー・バイデン大統領が大統領選から撤退して民主党候補にカマラ・ハリス氏を後継指名したことや、トランプ氏に対する暗殺未遂、大統領警護隊(シークレットサービス)を巡る不祥事といった出来事が、米国内外で人々の頭をくらくらさせている。大統領選のドラマに夢中になっている米国民にとって、こうしたニュースは外交政策よりも人格や政党に関するものだった。だが、世界一の軍事・経済大国である米国の方向性を理解するのに苦労している外国政府にとっては、一連のニュースは不確実性とリスクに関するものだった。オハイオ州選出上院議員のバンス氏を副大統領候補に選んだことで、トランプ氏は外交政策におけるポピュリスト(大衆迎合主義者)的でエスタブリッシュメントに批判的な姿勢を強化した。国外ではこれに衝撃を受けている人もいれば、ワクワクしている人もいる。バンス氏はウクライナ支援に懐疑的で、保護主義的な関税を支持し、ジャクソン流民主主義の影響を受けたMAGA(米国を再び偉大に)の政策を擁護している。
【オピニオン】「バイデン後」の米外交政策は
米主導の世界秩序への懐疑論が左右両派で強まっている
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