魅力3
DXが進んだ職場体験

 さて、理系学生においてもニトリは人気ランキングで11位と大人気です。

 実は、ニトリには理系学生を若干ざわつかせる社内制度があることでも知られています。それはIT人材として入社した後の研修期間が「店舗で1年、物流部門で半年」と、合計1年半の現場研修が課せられているということです。

 入社した人材がたとえ専門職であったとしても店舗を経験させるというのは、トヨタでもユニクロでもマクドナルドでも普通に行われることです。しかし1年半という長期にわたって専門以外の職種を経験させるというのは極めて異例なシステムです。

 その背景にあるのが先ほどお話しした「製造物流IT小売り一貫のビジネスモデル」です。

 ニトリのIT人材採用は、自社のITシステムを自社内で開発、運営するという前提に立っています。日本では多くの企業がITはシステムインテグレータなどの外部ベンダーに外注するのとは大きな違いです。

 ITを自社内製するメリットは、自社のビジネスモデルを熟知していることでDXを企画しやすいことです。

 店舗がどのように運営されているのか、物流プロセスがどのように動いているのかを知っているかどうかで、出来上がるITシステムが「使えるシステムか使えないシステムか」「業務を革新させるか既存の業務の省力化しか望めないか」の差が生まれます。

 ニトリは現時点でもDX化が大きく進んでいる企業です。新卒社員の場合、入社してすぐに、他の小売業よりもずっと進んだITに触れることで、新社会人の時点でDXの威力を実感できます。

 そのうえでまず店舗を1年間、つぎに物流現場を半年体験することで、現状のビジネスプロセスのどこに課題があり、どこが次にデジタルの力でトランスフォーメーションすることで革新ができるかを着眼しやすくなります。