魅力2
成長余力が無限に大きい
さきほどニトリの売り上げ減について国内店舗の飽和が要因として大きいと書きました。
ニトリ自身は公式にはそう言っていませんが、店舗展開の海外シフトは鮮明です。実際、今期が始まった時点での世界店舗数は1001店ですが、その82%は国内店です。しかし新規出店に関しては昨年の新規出店数は国内と海外がほぼ半々、今期は3分の2は海外と、海外進出にウエートを置いた出店を計画しています。
理由はおそらくふたつあって、ひとつは円安の長期定着を予想していることです。円安だと国内事業は苦しくなりますが海外事業からの利益がそれを打ち消します。国内と海外の比率が半々を超えたユニクロがこのメリットを享受している一方で、ニトリはこの点では出遅れた形です。そのリカバーのためにも、海外進出は重要です。
もうひとつの理由は、日本で完成させたニトリのビジネスモデルがグローバルに通用するからです。
ニトリは中国大陸では先ごろ100店目の店舗が開業したばかりです。さらにアジアではタイ、ベトナム、韓国、香港に昨年新規出店をし、今年はフィリピンに新規出店をしています。これは小売業の海外進出としてはやや意欲的な戦略です。
というのも小売店のグローバル展開においてはドミナント戦略が重要で、ひとつひとつの国で圧倒的な規模に達していくことの方が、拠点のある国の数を増やすよりも重要な要素だからです。
そしてニトリの戦略が意欲的だというのは、それがわかったうえでこれまでドミナント性を確保してきた中国大陸、台湾、マレーシアに続く形で、まだドミナントではなかったタイ、シンガポール、韓国、ベトナムでも多数の出店を行うことで短期間でのドミナント化を図ろうとしているからです。
ここも就活学生にとっては心に留めておくべきことです。
その企業に入って学ぶことが多いかどうかを左右するのは、成長しているかどうかが非常に重要です。というのも、企業は成長をする際にもっとも多くの課題に直面し、その時期にその企業に在籍した社員はもっとも多くのビジネススキルを成長の過程で学ぶことができるからです。
ニトリの場合、国内事業の飽和の課題よりもグローバル展開の余力の方が無限といっていいほど大きいわけで、その意味でまだまだ社員にも成長余力があるのです。