起訴されて有罪となれば
実刑になる可能性も
現状では日本発の情報に頼らざるをえず、肝心の日本のメディアも逮捕報道から一夜明けた18日以降は音沙汰なしの状況が続いている。したがってドイツ国内においても、推定無罪の原則に則った上で、何らかの判断が下されるまでは静観するしかない――といった論調となっている。
推定無罪は日本国憲法でも定められているが、欧米でも近代法における基本原則として重視されている。各国の法律では「何人も刑事裁判で有罪が確定するまでは、無罪として扱われなければならない」などと謳われている。
記憶に新しいところでは、女性への性加害疑惑で刑事告訴されたMF伊東純也のケースがある。カタールでアジアカップを戦っていた森保ジャパンから途中離脱させられた伊東が、所属するフランス・リーグアンのスタッド・ランスでは合流後すぐに試合出場を果たせたのも、この推定無罪に則ったものだった。
しかし、週刊誌上で刑事告訴が報じられた伊東と異なり、佐野容疑者の場合は逮捕された案件となる。不同意性交罪の場合、書類送検後に検察によって起訴されて有罪となれば、被害者女性との示談成立などの特別な事情がない限りは、初犯でも実刑になりうる重罪である。
なお佐野容疑者と直接の関係はないが、パリ五輪に臨んでいるU-23日本代表のバックアップメンバーに選出されていた実弟の佐野航大選手が辞退したと、日本サッカー協会(JFA)が18日に発表した。
JFAは「所属クラブとの協議の結果、招集を見送ることになりました」と航大選手が辞退に至った理由を発表した。実際はパリ五輪の大会レギュレーション変更なども関係しているが、タイミング的にどうしても佐野海舟容疑者の件と関連づけてしまうファンも多いだろう。
同日には佐野兄弟の父親が代表者を務め、兄弟のオンラインサロンを運営している「株式会社S・K・Y」が公式サイトを更新。兄・海舟容疑者の逮捕を受けて「会員制サロンでご紹介のアスリート(佐野海舟)について、大変ご迷惑をおかけしております」で始まる謝罪文を掲載している。
「スポンサー様、サポーター様の皆様へも多大なるご迷惑、ご心配をおかけしておりますこと誠に申し訳ございません。今後の報道進捗、運営上の調整も含め協議の上取り決めを行って参りますのでよろしくお願い申し上げます。 S・K・Y運営一同」(原文ママ)
企業理念として「スポーツを通じて夢を追いかける子供たちを応援、支援する」と謳う同社の所在地は、佐野兄弟の地元の岡山県津山市。代表者の父親・龍一さんはスキー選手として国体などで活躍した元アスリートだ。同社のサイト上では、いまも6月12日付で公開された佐野容疑者のビデオメッセージが閲覧できる。