厳しい芸能界で
ドタキャンは絶対にあり得ない!

 焼肉IWAでスタッフを募集した時のこと。芸能界とは無関係の人材にも、ぜひお店に入ってほしいと考えていたところ、採用面接を“ドタキャン”する人がいたのです。電話ではあんなにやる気に満ち溢れていたのに。アイドルが好きで、焼肉IWAで働きたいとアピールしていたのに……。

 また、取引のあった企業でもおざなりな対応をする人がいました。ビジネスの世界は皆きちんとしているものだと思い込んでいたため、こんな無責任な人もいるんだなとビックリしました。

 世間知らずと思われるもしれませんが、そう感じたのには理由があります。アイドルにとって仕事に穴を開けることはあり得ないからです。例えば、風邪を引いて熱が出てもテレビ番組の収録は休めませんし、遅刻したら自分の評価が一気に下がります。

 代わりはいくらでもいます。実際、インフルエンザと倒れて病院に運ばれた時以外、私は仕事を休んだことはありません。どんなに体調が悪くても、這いつくばって現場に行きました。それは仕事に対して覚悟や責任があるからです。

 そうした世界に長くいたことで、仕事に穴を開けないことは、もはや私の常識になっていました。だからこそ「え、こんなに簡単に仕事を投げ出しちゃうんだ……」と信じられませんでした。

 アイドル、ビジネス双方の世界を経験したことで得られた教訓。それは「与えられたもの」「自ら切り開いたもの」に関係なく、目の前の仕事を全うするべきだということに尽きます。

 アイドルにとって、もちろん歌やダンスなどの才能は大事。けれども、それだけではなく、コツコツと努力することができ、手を抜かずに全力で仕事に向き合う人が、最終的には周囲から高い評価を受けていました。

 焼肉IWAのスタッフも同じです。たとえアルバイト未経験でもやるべきことをしっかりとこなし、自分で考えて行動できるような人はお客さんにも慕われます。自分が思っている以上に周りは見ているのです。