――以前は派閥同士の争いも激しかったと聞きます。

 中選挙区時代はそうでした。同じ選挙区に自民党内から複数の議員が立候補しますから、それぞれの候補者が所属する派閥同士がしのぎを削っていました。小選挙区になってからはそれほど熾烈な争いはなくなりましたし、ポストの配分においても派閥の意味合いは薄れています。

――渡辺恒雄さんは本書で、派閥の役割として「金・ポスト・選挙支援・総裁選」を挙げています。今問われているお金の問題などはどうですか。

 以前は派閥を舞台に、汚職事件で議員が逮捕されるようなこともありましたが、クリーンな政治への転換は、時代の要請でもあり当然だと思います。政治の世界だけでなく、実業の世界でも税制や申告などは厳しくなっていますからね。上場企業が高い倫理性を問われるのと同様に、政治献金のあり方も厳しくならざるを得ないでしょう。

国会議員は“商社マン”ばかり…麻生派重鎮が語る「日本の政治」の問題点とは?山東昭子氏 Photo by Wataru Mukai

 ただ、資金管理をクリーンにするために派閥をなくすべきだという議論に対しては、果たして本当にそうなのかと。自分のことを振り返ってみても、政治について右も左もわからない中で議員になって、派閥から教わったことは多いですよ。

 例えば選挙区で陳情を受けても、一年生議員の場合にはすぐに処理できないことも多い。だから派閥の先輩に相談して、一緒に関係するところへ連れていってもらって解決するというようなこともありました。議員としての「生き方」を教えてもらう場所だったんです。

――現在山東議員が所属されている麻生派は、「派閥解消の方針」が出た後も解散していませんね。

 私は後から麻生派に合流しましたが、麻生さんとは昔からの付き合いです。私が女性局長で、麻生さんが青年局長のころからですから、もう半世紀くらいになるでしょうか。派閥を残しているのは、麻生さんの人柄によるところだと思います。