年次有給休暇の条件とは

 D社労士がうなずくと、C部長はAが尋ねてきた理由と、新入社員にはまだ有休が付かないから夏休みは取れないと返答した旨を話し、「有休は法律通りに与えるようにしてますから、会社側の対応に間違いはないですよね?」と尋ねた。

<年次有給休暇(ここでは「有休」という)とは>
労働基準法39条に定めがある有給(休んでも賃金が減額されない)休暇である。

<労働基準法で定める有休の付与条件>
(1)雇い入れの日から6カ月経過していること
(2)その期間の全労働日の8割以上出勤したこと
○(1)(2)の条件を満たすと、労基法で定める日数の有休が付与される(例えば正社員の場合10日)。
○最初に有休が付与された日から1年を経過した日に、(2)と同様要件(最初の有休が付与されてから1年間の全労働日の8割以上出勤したこと)を満たせば、新たな有休が付与される(正社員の場合11日)。

参考:厚生労働省「年次有給休暇の付与日数は法律で決まっています」(PDF)
https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/dl/140811-3.pdf

「質問の内容は分かりました。ところでC部長、確認したいことがあるので就業規則を見せてもらえますか?」

 D社労士はC部長から預かった就業規則をめくり、甲社の休日に関する記載内容を確認した。

「えーと……。就業規則によると、甲社の休日は【(1)土曜日(2)日曜日(3)国民の祝日(4)年末年始(12月29日から翌年1月3日まで)(5)夏期休暇(7月から9月までのうち平日3日間)(6)その他会社が定めた日】とあります。ですからこの内容に照らし合わせると、Aさんは有休の付与がなくても3日間の夏休みが取れることになります」