小山浩子氏小山浩子氏

熱中症のリスクが高まる猛暑。管理栄養士の小山浩子さんによると、老化と熱中症の予防にダントツに効くお勧めの飲み物があると言います。ジャーナリストの笹井恵里子さんが聞きました。(管理栄養士・料理家 小山浩子、構成/ジャーナリスト 笹井恵里子)

スポーツドリンクは糖分が多い
緑茶やコーヒーは栄養素が流出

 前回は熱中症になりやすい人の特徴や、熱中症対策に必要な栄養素と量をお伝えしました。夏は汗で水溶性ミネラル(ナトリウム、カリウム、カルシウム)が排出されやすく、中でもカリウムを意識して取る必要があります。加えて神経の機能やエネルギー代謝に関わるマグネシウムも重要です。

 今回は夏に飲んでほしいドリンクを取り上げましょう。

 熱中症予防として「スポーツドリンク」は万能のイメージがありますが、実は熱中症予防に重要な水溶性ミネラルがそれほど取れるわけではありません。多いのは糖分で、500mlで約30gも含みます。カルピスやヤクルトなどを含む「乳酸菌飲料」も、200mlに20gほどの糖分を含むものがほとんど。糖分(ブドウ糖)なら、ごはんからはもちろん、パスタやパンといった主食から取れますよね。

 それに、夏に糖分が多い飲料を飲んでいると一層疲れやすくなってしまうのです。

 なぜなら糖質の代謝に欠かせないビタミンB1が、夏は汗で流れてしまいがちだからです。体内でビタミンB1が枯渇したところに、糖分が多い飲料を飲めば、エネルギー代謝がうまくいかなくなってバテてしまいます。元気になるために飲料を口にするのに、余計に疲れてしまっては元も子もありませんね。

 緑茶やコーヒーはどうでしょうか。どちらも抗酸化作用があり、熱中症対策に必要なカリウムも含み、健康にいい飲料です。けれどもカフェインには利尿作用があるため、せっかくの栄養素が流れ出てしまう恐れがあります。