社長自ら各店舗に出向いて説明行脚する、「店舗ラウンド」をするというのである。

 様々な偶然も重なって社長に抜擢されたが、林さんは本来現場の社員に非常に近い心情を持つ人である。今回の株式売却で従業員に不安が広がっていることは「謝っても謝りきれない」ので、11月16日から全10店舗を回って社員に直接思いを伝えたいという。

社長の全店舗行脚でも
拭えきれない不安

 林社長はそごう神戸店、西武高槻店がエイチ・ツー・オーリテイリングに営業譲渡された際にも、現地を回って従業員と直接対話をしたことがある。経営幹部からは「かえって混乱を招く」と止められたが、林社長の意思で強行した。林氏はかつて神戸店の店長を務めた経験があり、とくに思い入れが強いということもあった。

 神戸店ではかつての部下らに対し、「申し訳ありません」と深々と頭を下げたと聞いている。

 11月16日から始めた全店舗行脚で、社長は営業時間前の部課長会などに参加した。

「今回のディールはそごう・西武を再成長させるためのものです。私は、セブン&アイ・ホールディングスと井阪社長を信じています。従って悪いようにはならない、させない。だから安心して目の前の業務、繁忙期を乗り切ってください」