しかし、私はその話を聞いても不安を拭いきれなかった。

 林社長の気持ちは本物だろう。さもなければ、この混乱期に10店舗を回って直接現場の社員に謝罪するという行動に出るはずがない。しかしセブン&アイは、本当に「悪いようにしない」だろうか。

 ちょうどこの時期、そごう広島店では本館を改装し、新館から退去して本館にまとめる作業に入っていた。今後もこのまま営業を続けていけるのか、不安が広がっていた。そしてその不安は、そごう・西武の社員すべてが共有する不安でもあった。

百貨店らしくない店で
高級品を買いたくない

 2022年11月21日に行われたそごう・西武労働組合の臨時中央大会では、組合の各支部から厳しい声が寄せられた。

「1月末の報道(編集部注/2022年1月31日に日経新聞が報じた)以降、お取引先さまから『先の案件は依頼できない』など厳しいお言葉を頂戴することが続き、普段の営業活動に支障が出ている。事業の特性上、交渉期間や取引納入期間が長い案件が多いことも鑑み、お取引先さまに根拠のある説明ができる安心材料が早くほしいと感じている」(商事支部の組合代議員)