労働組合としてのいらだち
おカネを出す人が一番強い

 ヨドバシが北ゾーンに入居することにこだわっているのは、もうひとつ理由があった。池袋本店から北側に向かって歩くと左にビックカメラ、右にヤマダデンキの大型店が並ぶ。仮に現在の池袋本店の北ゾーンにヨドバシカメラが入ると、ビックカメラ、ヤマダデンキに向かう人たちをその手前でせき止めてしまうことになる。ライバルのビックカメラ、ヤマダに強力な打撃を与えることができる立地なのだ。

 ヨドバシはさらに手を打っていた。

 池袋本店の地下街から東側に広がる約1200坪にわたるショッピングセンター「池袋ショッピングパーク(ISP)」の株式をヨドバシホールディングスが取得する方向だというのだ。

 ISPには現在約60のアパレルや飲食店、食料品店が入居するが、ここにもヨドバシカメラが入れば、さらにビックカメラ、ヤマダデンキへの人流は細ることになる。

 井阪隆一社長(セブン&アイHD)に近いと見られていた社外取締役の伊藤邦雄氏でさえ、「気がついたら『ヨドバシ百貨店』になっているようなことは、やってはだめだ。あくまでそごう・西武が、百貨店として成長できるプランでなければだめなんだ」と言っていたと聞く。

 しかし、「結局、おカネを出す人が一番強い」とあるアナリストが言っていたように、2000億円を出資する予定のヨドバシカメラに発言権があるのは間違いなかった。