これほど重要な決定が、労働組合にいっさいなんの説明も連絡もなく、抜き打ちのような形で実行されてしまったことに、大きな衝撃を受けた。

 2022年11月11日午後の臨時中央経営協議会でそごう・西武の林拓二社長は冒頭突如立ち上がり、「申し訳ありません」とわれわれに頭を下げた。

「前日から様々な報道が先行し、当社で働く従業員の皆さまやステークホルダー(利害関係者)、お客さまに多大な不安を与えたことについて、大変申し訳なく、あらためてお詫びを申し上げます」

いったいどういうことなのか
労働組合の頭越しの決定

 しかし、林社長に謝られても、結果は覆らない。組合側からは当然、厳しい言葉をぶつけた。

「秘密保持の観点やインサイダー取引に抵触するとの懸念から情報開示が難しい状況とのことでしたが、これだけ外部には情報漏洩をしながら、当社で働く従業員には『決定事項は何もない』とは、いったいどういうことなのか。あまりにも、働く従業員や労働組合を置き去りにした対応なのではないでしょうか」

「今後どんなにきれいなメッセージを並べられても真正面から受け止めることができません。労働組合は個人の私利私欲のために動いているわけではありません」

 11月11日の中央経営協議会で「申し訳ない」と頭を下げた林社長は、その後、ある決意を固める。