「やはり組織というか……。一度、処分へと方針が傾くと、加害5生徒たちは、登校後、ひとりずつ個室のようなところに隔離され、スマホで加害生徒同士連絡を取ることを禁じられました。登下校時間も加害生徒間で重なることのないようにするという徹底ぶりでした」

 こうした学校側のやり方に加害生徒側の保護者の中には、「やり過ぎだ」という非難の声もあった。

 だが、いじめに厳しい時代、かつ加害行為が刃物を用いたものであったり、約3万円相当の腕時計を破損したりと、もはやいじめ行為というよりも器物損壊や傷害といった暴力事案でもあり、保護者の間では加害生徒側への同情の声は、いつしかかき消されていった。

「もし、わたしの声が小さく、動きが鈍ければ、子どもを守り切れなかったかもしれません――」

転校は解決策になるのか?
「公立中学校」という選択肢

 レン君ママが学校側にいじめ問題を認めさせようと動いている際、時折頭をよぎったのが、「これまでのことよりもこれからのことを考えた方がいい」ということだ。具体的には退学して、他の中学校への転校である。

「しかし、うちが素早く手を打って、他の私立中学校への転校などしても同じなんです。加害の子たちも学校側から自発的な退学を促されたと聞いています。そうすると加害の子たちも転校を考えます。転校先でいじめの被害者と加害者の両者が鉢合わせという可能性もあり得ます」

 事実、大阪府内、兵庫県内の私立中学校で転編入を受け入れている学校のいくつかに聞いてみたが、特に「急ぎ転校したい」というケースでは、一概には言えないものの、被害か加害かを問わず、何らかの形でいじめに関わった生徒が少なからずいるとの印象を学校側も認識している様子がうかがえた。

 実際、いじめ被害、近年では加害で私立中学校への退学を余儀なくされた場合、その後、どうすればいいのか。先でも触れたように、ひとつは転編入を受け入れている学校への転校だ。そして、もうひとつが公立中学校へ転校するというものである。